;;;:*†*:;;;:*†* 第23回 *†*:;;;:*†*:;;;:
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キルコライズフィールド 第23号
2014年 12月 1日発行
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12月メールマガジン
弊社お客様方
いつもご愛顧いただき、今月も当メルマガをご購読くださり、ありがとうございます。
12月になった途端に一気に本格的な冬がやってきました。
雪の多い地域の方々は例年より早くからの大雪で、ご苦労がしのばれます。
寒い毎日ですので、お体にはくれぐれもお気を付けください。
今年も一年ご購読ありがとうございました。
来年からもどうぞよろしくお願いいたします。
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メールマガジン【 キルコライズ・フィールド 】 今回はその第23号を配信いたします。
皆様方のビジネスの前進に貢献したいという観点も持ちながら、キルコート周辺の情報もできるだけ含めてお伝えしてまいります。
今回の話題は、先月に引き続き『省エネシミュレーション ③』です。
当社が実施している計算方法についてその概略を紹介する、その最終回となります。
今月もわかり易さに配慮してお伝えいたしたいと思います。
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☐☐「前回の復習」☐☐
前回お伝えした内容をざっと振り返ってみます。
①.建物室内への熱の侵入を考えたとき、建材やその間の空気の中を伝わって侵入してゆくような伝わり方を『熱伝導』といいます。
②.『熱伝導率』は、ある物質の熱の伝わり易さを表す値で、物質そのものの性質を示す数字です。実際の建物は建材の厚みがあり、重層構造になっているので、『熱貫流率(K値)』を用います。『熱貫流率(K値)』は、『熱伝導率』をもとに求めます。
③.材料が一種類のとき、『熱貫流率(K値)』は
熱貫流率(K値)=1/(材料の厚さ ÷ 熱伝導率)
④.重層構造の場合は、
熱貫流率(K値)= 1/(材料①の厚さ ÷ 熱伝導率①)+(材料②の厚さ ÷ 熱伝導率②)+(材料③の厚さ ÷ 熱伝導率③)+・・・
※分母は各材料の熱抵抗値の合計
⑤.建材の内と外での空気との接触面では、熱の伝わりには一定の抵抗があると考え、定数とされる数値を加えて計算します。
⑥.屋根が折板で、天井裏があり、プラスターボードと言われる天井ボードの上に5cmのグラスウールの断熱材が入っている場合の熱還流率計算の例は、
熱貫流率(K値)=1 /〔① 0.05 +(② 0.0006÷③ 68.970)+(④ 0.004÷⑤ 0.030×⑥ 0.7)+⑦ 0.1+(⑧ 0.009÷⑨ 0.516×⑩ 0.7)+(⑪
0.05÷⑫0.039×⑬ 0.5)+ ⑭ 0.1〕
⑦.屋根板の裏側で観察される温度数値のデータを用いる場合に必要な計算は、
熱貫流率(K1)=1 /〔⑦ 0.1+(⑧ 0.009÷⑨ 0.516×⑩ 0.7)+(⑪ 0.05÷⑫ 0.039×⑬ 0.5)+ ⑭ 0.1〕 =1.1720 kcal/ ㎡ h℃ ということになります。
〔①外部空気定数、②鋼板 0.6㎜、③同熱伝導率、④裏打(ウレタン) 4㎜、⑤同熱伝導率、⑥同推定有効率、⑦内部空気定数、⑧プラスターボード9.0 ㎜、⑨同熱伝導率、⑩同推定有効率、⑪グラスウール 50 ㎜、⑫同
熱伝導率、⑬同推定有効率、⑭内部空気定数〕
といったところまででしたね。
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☐☐「導き出した熱還流率から省エネ熱量を計算しましょう」☐☐
屋根~天井~室内までの熱還流率が導き出せれば、あとはさほど難しくありません。
熱還流率は、単位面積当たり、単位時間当たり、温度差1℃当りにおける、還流する熱量を示しています。
熱還流率(K1)に、建物(部屋)の平面積、キルコートを塗っていないときと塗ったときの屋根板の裏側の温度差の平均を掛ければ、1時間当たりに還流する熱量が求められます。
まず、ここまでをやってみましょう。
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☐☐「一般的な屋根板裏面温度差~還流熱量」☐☐
夏季における屋根板の裏側の温度差は、これまでのデータ蓄積により、次の様な一般的な数字を当てはめて考えます。
観測温度蓄積データからの数値( ※キルコートの色はクールホワイト色を基本とします。)
「カラー鋼板(濃彩色系)」の場合、
〈夏季〉
未塗装 キルコート塗装済 差
最大 78℃ 35℃ 43℃
平均(昼間) 48℃ 27℃ 23℃
「素地鋼板(シルバー)」の場合、
〈夏季〉
未塗装 キルコート塗装済 差
最大 60℃ 33℃ 27℃
平均(昼間) 38℃ 26℃ 12℃
濃い系のカラー鋼板屋根で、平面積が2,000㎡、屋根から天井ボードまでの造りは上で例として熱還流率を計算したものと同様とするという建物を想定します。
すると、1時間当たりに還流する平均熱量の計算は、
1.1720 kcal/ ㎡ h℃(熱還流率) × 2,000㎡ × 23℃ = 53,912 kcal/h となります。
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☐☐「還流熱量~削減電力量」☐☐
単位時間当たりの平均の熱還流量が求められたので、ここから空調機の削減電力量を求める計算に移ります。
ここで、空調機のCOPを3.0程度と仮定します。
算出した単位時間当たりの空調負荷の差をワット換算します。
53,912 kcal/h ÷ 860 = 62.69 kW/h
これをCOPで割ることにより、空調機の単位時間当たり電力に換算されます。
62.69W/h ÷ 3.0 = 20.9 kW/h
これに稼働時間を掛けて削減電力量を求めます。
(塗装前の状態では、10時間/日 の稼働時間に加え、日々3時間程度の空調機稼動に匹敵する熱量が屋根裏などの建物各部に蓄えられ続けると考え、その分の稼働時間数を加えます。)
20.9 kW/h ×(10 + 3)h/日 × 30日 × 4ヶ月 = 32,604 kwh
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☐☐「使用電気料金換算」☐☐
使用電気料金は、単位時間当たりの低減使用電力量に電気料金単価を掛けて求めます。
32,604 kwh × 15円(推定) = 489,060円
これが導き出された夏季ワンシーズンの低減電気料金額となります。
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☐☐「基本契約低減計算」☐☐
時間当たりの電力使用量の最大値が最大デマンドとなり、この数字が翌月~1年間の契約電力となり、基本料金が決まります。
つまり、最大デマンドを記録すると思われる時間帯に、抑えられると予想される空調付加~電力使用量を予想することにより、翌月~1年間の基本料金の低減予想額が求められます。
使用電力の年間での最大デマンド(単位時間あたりに記録される電力使用量の最大値)が記録される時刻は、通常の場合、真夏の一日の最高気温が記録される時間帯となる場合が多く、この場合も同様であるとします。
この時間帯におけるキルコートが塗装された場合と、されていない場合のカラーベストの屋根の裏面の温度差は、過去の観測データ数字より43℃とします。
この温度差を、前述の通期での負荷低減で行った方法に当てはめて基本契約低減計算を実施します。
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☐☐「最大デマンド時 還流低減熱量」☐☐
まず、この場合の最大デマンド記録時間帯で、キルコート塗装による時間当たりの負荷低減熱量数値を計算します。
1.1720 kcal/ ㎡ h℃(熱還流率) × 2,000㎡ × 43℃ = 100,792 kcal/h
ということになります。
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☐☐「最大デマンド記録時の電力低減量、基本料金低減額」☐☐
最大デマンド記録時の負荷低減値をワット換算します。
100,792 kcal/h ÷ 860 ≒ 117.2 kW/h
これを、空調機使用電力に換算すると、
117.2 kW/h ÷ 3.0 = 39.1 KWh → 39kW
基本料金にはこの数値の反映が期待できますので、月の基本料金は、
39 kW × 1,730円(推定) = 67,470円/月
だけの減額が期待できます。
年間トータルでは、 67,470円 × 12ヵ月 = 809,640円
という低減が期待されます。
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☐☐「期待金額合計」☐☐
電力使用料金の低減期待金額と基本料金上の低減期待金額を合計しトータルの予想金額を計算します。
489,060円 + 809,640円 = 1,298,700円/年
という金額数字となりました。
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☐☐「応用計算のすゝめ」☐☐
省エネシミュレーションの実際の計算を一通りご紹介いたしました。
決して難しい計算ではありませんが、日頃ご自身で計算することから遠ざかりがちな方々にとっては、煩わしいかも知れません。
今回あげた例をベースとすれば、条件数字を変えたものとしていろいろなケースに応用計算が可能となります。
ご興味のある方はぜひ実施してみることをお勧めします。
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☐☐「計算の信憑性」☐☐
お伝えしてきた省エネシミュレーション計算の方法ですが、勿論あくまで理論から導いたものです。
実際の建物には現実の条件がいろいろと加わりますので、本当の効果とのずれは生じます。
熱還流を考えただけでも、実際の天井には軽天材があったり、壁があったりと、計算条件との相違があります。
計算式の中では、推定値も多く使われていますが、あくまで推定でしかありません。
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☐☐「ご意見をお聞かせください」☐☐
やや信憑性欠ける要素は仕方のないものと考えますが、現実に現れた効果との比較をお客様側で行われた際の声を聞けたときには、計算の答えが実際の効果を裏切っていないという内容をうかがうのが常の様に思います。
方法自体についてもよりよいものへとグレードアップしてゆきたいと考えております。
内容についてご質問やご意見をお持ちの方は、遠慮なくお聞かせいただきたくお願いいたします。
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以上、第23回目、本年最後の話題をお伝えいたしました。いかがでしたでしょうか?
また次回の話題をどうぞご期待ください。
よろしくお願いいたします。
【キルコートニュース編集委員会】
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